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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :11/27/00:49

10100800 私はタイフーン採用を望みます

F-35ライトニングⅡ F-18E/Fスーパーホーネット タイフーン

どういうわけか、F-X候補機はこの順番で並べられます。

私は、これは防衛省・航空自衛隊の意図的な順番付けがなされていると見ています。これには、航空自衛隊のジレンマが表れ、理想・現実・不満といった裏のメッセージが隠されているのではないでしょうか。





F-X選定の遅れは、計画自体がF-22ラプター取得を前提に進められたことが原因です。

航空自衛隊にとって、アメリカは生みの親であり育ての親で、アメリカ空軍と同じ戦闘機を装備することはアメリカへの忠誠心を表すものであり、航空自衛隊という専門職の多い閉鎖的村社会が、硬直した思考により選定の遅れを招いてしまい、日本の防空に大きな穴を開けてしまっています。

F-22ラプターはオバマ政権による政策だけでなく、日本の景気後退により、その採用と維持は不可能であることは火を見るよりも明らかでした。

欲しいものを前に駄々をこねる子供のような真似は、日本を取り巻く軍事環境を考えると無謀であり無知すぎます。

日本を取り巻く軍事環境は、日本海を取り巻くように日本・ロシア・朝鮮半島と複雑な地政学的な要因と、経済成長著しい中国を中心とする新しい政治・経済体制が構築されつつあります。日本政府と日本国民の認識は低いようですが、中東や東アジアの紛争が絶えない地域以上に、国家間紛争の危険度は世界で最も高い地域なのです。F-22欲しさに駄々をこねる猶予など全くないのです。

このような稚拙な発想は、冷戦体質が未だに抜け切れていないのかもしれません。

冷戦時代、日本の役割は単純明快でした。西側陣営の対ソ戦略の中で、防波堤として日本の存在はアメリカの国益にかなうものでした。中曽根康弘元首相が「不沈空母」発言(これは通訳の意訳ミスでしたが)こそ、日本の冷戦体制下での役割だったのです。

現在の日本は、共産党による一党独裁国家「中国」が、毎年莫大な軍事費を注ぎ、装備の近代化を進めてきました。中国は日本を敵視し、日本の脅威となっています。

中国は日本の脅威ではありますが、中国にとっても日本は脅威なのです。

中国は経済成長と安定国家を維持するには、輸入が重要なものとなり、そのためにシーレーン防衛が第一の国防政策となります。

東アジアの地図を南北逆さまにすると、中国の東岸を塞ぐように日本列島=南西諸島=台湾(第一列島線)が立ちはだかっています。中国は経済成長とともに大陸国家から海洋国家に変貌し、シーレーンを防衛するためには、第一列島線の安全を確保することが絶対条件となります。

武力行使を厭わない中国にとって、目の上のたんこぶであるこの第一列島線を支配下に置くために、武力行使することは容易に想像できます。

日本防衛のために、海空戦力の充実は重要であり、柔軟かつ機動性の高い戦力の整備が必要です。

こうした諸事情から、F-35の選択は妥当であり当然ではありますが、採用・運用コストの問題は大きく、日中の軍事衝突となった場合、日米安保条約によりアメリカの支援が得られるかもしれませんが、日中の軍事衝突前に、中国は日米間の分断を図ることでしょう。核保有国同士の対決で、アメリカはどのような選択をするか全く予想できません。

私は、新しい関係の構築のため、迅速な調達が可能なタイフーンの採用が最良と考えます。武器輸出三原則を緩和し、兵器等の共同研究開発にも着手すべきであり、タイフーンは大きな可能性を秘めたものと認識しています。

タイフーンは、最終候補である三機種の中で最も飛行能力が高く、今後、推力偏向ノズルや強化型エンジンなどの飛行性能向上計画もあり、ライセンス生産・ノックダウン生産も認められ、武器輸出三原則が緩和されれば、日本で生産されたタイフーンを海外に輸出することも認めているのです。

情報開示も「ノー・ブラックボックス」をキャッチコピーにセールスをしており、戦闘機の開発・生産基盤の喪失が危惧される現状を打開するにも適したものなのです。

東日本大震災は未曾有の災害であり、原発事故は最悪の事態となりました。それらは、「想定外」というエクスキューズが多用されていますが、国防にエクスキューズはありません。現実を直視し最良の選択をしなければならないのです。

F-35の選択は、日露戦争で講和を急いだ現実路線の日本政府を攻撃した日本の国内世論と同じで、現実を全く見ていないものです。

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