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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :02/28/10:30

09280800 予備自衛官裏話

自衛官未経験の一般国民を採用する「予備自衛官補」が、東日本大震災後、志願者は狭き門となっているそうです。

東日本大震災後、志願者の急増は歓迎しますが、こうしたムードに水を差すようですが現実のお話をします。





予備自衛官は、即応・予備・予備補の区分があります。

即応予備自衛官は、防衛力の基本的枠組みの一部と解釈され、防衛召集命令等を受け自衛官となり、指定された陸自部隊で勤務します。

予備自衛官は、防衛召集命令・災害召集命令を受け自衛官として勤務します。

予備自衛官補は、教育訓練終了後、予備自衛官として任用されます。

東日本大震災で、即応予備自衛官・予備自衛官の招集は、制度創設以来初でした。

災害等召集命令が出されたのは3月16日11:58。災害派遣人員10万人態勢を構築するためのものでした。

予備自衛官制度は、昭和29年度からの歴史がありますが、役割は曖昧なままでした。当初、部隊が出動した後の駐屯地警備に当たるとされてきましたが、部隊編成など具体的な方策は何ら示されていませんでした。

それが、現役と予備役という概念を明確にすることで、平成9年度から即応予備自衛官制度が採用されました。これに合わせて、平時は管理・訓練に当たる要員のみの連隊が編成されました。

自衛官として1年以上の勤務経験があり、退官後1年未満の者。もしくは予備自衛官(予備自衛官補からの任官者を除く)で構成されます。実員約5,600名。第一線部隊としての任務が課せられています。

数字では軽装備の普通科連隊8個編成が可能ですが、即応予備自衛官に義務付けられている訓練は年間で30日。分割可能で、実際に行動する場合、部隊としての運用には練度が低いでしょう。部隊編成にも、必要な特技保有者を揃えるのが難しいと思われ、即応予備自衛官には陸自だけでなく海空自出身も加わり、期待される働きができるか疑問です。


予備自衛官は実員約31,000名。駐屯地警備、後方地域の任務を担当します。自衛官として1年以上の勤務経験、予備自衛官補の訓練を満了者で構成されています。

東日本大震災で、事前に召集に応じるか意思確認したところ、即応予備では約2,000名。予備では約4,500名が召集に応じる旨の意思があるとの返答があったそうです。

即応予備で約80%超ですが、予備では約15%という驚くような低さであったことは巷間に広まることはありませんでした。

民主国家の自衛隊(軍隊)ですから、当然といってしまえばそれまでですが、即応予備には月額10,400~14,200円、訓練には日当16,000円(×30日)が支給され、雇用企業には一人当たり月額42,500円が支給されています。予備では月額8,100円、日当4,000(×5日)が支給されています。

これで、召集に応じないとは…税金泥棒と呼ばれて当然ではないでしょうか。

東日本大震災、原発事故では自衛官だけでなく数多の英雄が自らの犠牲を顧みず活動しました。こうした英雄の存在は、深く敬意を表するものですが、国家の危機に英雄の出現を期待するのは中世の世のことで、近代国家ではおとぎ話としかいえません。

美談や英雄の出現をニュースにし、制度の欠陥や問題点を隠蔽するのは、稚拙なマスメディアに問題はありますが、未来の日本に禍根を残すだけです。現実は厳しいでは済まされるものではありません。

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