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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :11/29/01:56

03310800 この国の限界 ~北朝鮮ミサイル発射~

昨日の讀賣新聞朝刊に、「F15がイージス艦警護」という文字が躍っていました。

正直な感想は、「珍しいことをするものだ」です。

讀賣新聞によりますと、『北朝鮮が2009年にミサイルを発射した際には、朝鮮半島近くの公海上で活動していたイージス艦「こんごう」は、北朝鮮空軍機から対艦ミサイルの照準を何度も合わせられたほか、ロシア偵察機の接近にもさらされた』とあります。

今更、アピールして対策を講じるより、なぜ2009年の時点でそうした〝事実〟を防衛省・日本政府は公表し世界に対しアピールしなかったのでしょうか。韓国との竹島問題や従軍慰安婦問題で情報を扱う能力の差が際立ってしまいますが、こうした点も情報を扱う側の人間の認識が足りていないこを証明しています。






米ソ冷戦期、こうした威嚇は日常茶飯事でした。~ちょっと大袈裟な表現かもしれませんが~

以前にもお話しましたが、北海道で演習していると、無線機にロシア語の女性の声が飛び込んできたり、海自はロシア(当時はソ連)の艦艇が日本海を通過する際に追尾すると、艦載砲が海自の艦艇に向けられていたり、スクランブル発進した空自機が接近すると爆撃機の機銃がこちらを向いていたりと、当時を知る人ならこうした経験が少なからずあります。

今回の空自戦闘機による戦闘空中哨戒(CAP:Combat Air Patrol)は、ようやくまともな対処が出来るのかと感慨深いものがあります。

讀賣新聞の記事から判断すると、空自は戦闘空中哨戒でもBARCAPを行おうとしているようですが、イージス艦1隻に2機のF15として3隻のイージス艦が日本海と西太平洋に展開するので、6機のF15が警戒に当たります。

F15に併せて空中給油機を当然展開させることになるでしょうが、空中早期警戒機はどうするのか、F15・給油機・早期警戒機の交替なども考えると空自創設以来の「史上最大の作戦」となると考えられます。

これはこれで当然やるべきことであり、今までやってこなかったことが問題ですが、この程度のことをするのに、「史上最大の作戦」になってしまうのがこの国の防衛に対する理解度の指標です。

日本の防衛の現状は、戦わない軍隊ではなく、戦えない軍隊だとわかりっきているため最前線では相手国に完全に舐められています。

中国艦隊の警戒監視に当たっている海自護衛艦に中国艦隊の艦載ヘリが異常接近してメディアにも取り上げられ、「危険行為」などと言っていましたが、あれは「危険」なのではなく「挑発」です。挑発されても何も言えない、言おうとしない。北朝鮮による日本人拉致と同じです。

ただ、自衛隊法第95条の武器等の防護のための武器使用を根拠に、今回のCAPを行うとしていますが、反撃は刑法第36条正当防衛と刑法第37条緊急避難でしか認められません。

たぶん、北朝鮮空軍機は射程40数キロの空対艦ミサイルを保有しているはずで、ピケットラインは36㎞と記事にありますので、先に撃たれたら「負け」です。

自衛隊法第95条の武器等の防護のための武器使用は、防衛省が苦肉の策で捻り出した法的根拠なのでしょうが、現行の法制度では、悲しいかなこれが限界なのです。

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