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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :11/28/17:29

03230800 人事異動

東日本大震災で被災地の一線部隊の指揮官であった國友昭一等陸佐が、本日付で第12旅団(司令部:群馬県北群馬郡)幕僚長に着任されました。

震災時、國友一佐は第22普通科連隊長で東日本大震災の最前線で活動されました。





私は、震災後の報道などで國友一佐について詳しく知ることになりましたが、指揮官として発災直後からのプレッシャーは、想像を絶するものであったことでしょう。

発災からいち早く動き出した第22普通科連隊は、出動準備中に津波に遭い、車輌が浸水するという事態に追い込まれます。

状況を上級部隊に報告しても、電気・通信の途絶により状況が把握できず、部隊を出すべきかどうかの判断が出来ない状態に陥りました。

事後、メディアの取材で軽く答えていらっしゃいますが、決断は容易なことではなかったはずです。

地震、津波による被害は甚大であることはわかってはいても、それに連隊とはいえ八百数十名の人員をどう配置するか、被害の大きな地域に人員を集中投入するのが鉄則ですから、情報は喉から手が出る欲しかったはずです。

しかし、情報は入ってこない。

兵力の逐次投入は指揮官として「愚策」であることは、國友一佐はわかっていたからこそ、部隊をどう投入するか逡巡していたはずです。

移動手段である車輌は使えない、部隊をどこに出すべきかわからない、手かせ足かせを付けられた状況下、國友一佐は指揮官として「愚策」である逐次投入を決断しました。

「現場に行けば必ずニーズはある」と信じ。

東日本大震災で派遣された自衛隊員の約500名が家族が被災、約200名が両親・妻子を亡くしていました。

22連隊だけでなく、統合任務部隊でも家族を探したいとの上申がありましたが、すべて却下されました。

これを非人間的とか人道上問題があると簡単に批評することはできますが、却下することが人間として問題があるとしても、人間である以前に「自衛官」でなければならなかったのです。

日頃、戦うことを前提にして訓練や演習を繰り返す自衛隊です。戦うということは、上司や同僚、部下を失うこと、家族さえ失うことも念頭に入れておかなければなりません。

だからこそ、彼らはあの時、却下できたのだと思います。

震災から時間の経過とともに様々なデマが流れました。

自衛隊員の家族が、このデマに悩まされたこともあったそうです。

自衛隊員の家族といっても被災者です。避難所にいると、「自衛隊員の家族」だと知ると、「家族には特別の配給」があったはずだと責められたり、配給されたものを要求されることがあったそうです。

「終わり良ければすべて良し」で日本人は物事を済ませようとします。しかし、全てを精査し、何が足りて、何が足りなかったのか、あの時の良し悪しを明確にしなければ、次に同じような事態となった場合、同じ事を繰り返すだけになります。

本来、そうした検証作業はメディアが担当して大衆に周知するものですが、日本のメディアは瓦版程度の能力しかありません。

「報道の自由」は自分たちにあることを認知しているようですが、自分たちが第四の権力を持っていることはわかっていないようです。

災害派遣活動を実施した地元部隊の幹部が、家を津波で流されたそうです。

上司が気遣い、官舎に空きがあるからと入るように勧められたところ、「私には、官舎に持って入るものはもう何もないんです。私の家族は全員流され、財産も失い、私の過去の楽しい思い出もすべてが流されました。今あるのは、自衛官として、おの任務を遂行するという責任感だけです」と答えたそうです。

これもまた「事実」なのです。

國友一佐が離任に際し、地元メディアに最後に語った言葉です。
「国民の支持はとてもありがたいが、自衛隊がちやほやされるのは、国が災害などの不幸に面しているとき。国民から力をもらって活動している武力集団、もてはやされる時期ほど危ないということを肝に銘じなければならない。震災で、われわれが強くなければ国や国民を守れないこと、隊の教育訓練に間違いがなかったことを学んだ。謙虚さを失わず、さらに強い部隊を目指したい」

國友一佐のさらなる能力が発揮されることを…。

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