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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :04/27/02:43

10010800 F-35で本当によかったのか

今から40年以上前のこと。

「可能な限り低いコストでアメリカの安全保障を確保するという、目標を達成できるよう、国防総省を指導していく決意を固めた」と勇ましい決意の下、アメリカ合衆国国防長官の座に就いた一人の男がいました。

その名は、ロバート・マクナマラ。フォード社の社長から国防長官に抜擢された人物です。





当時のアメリカ軍は陸海空それぞれが予算を使い放題状態であり、兵器調達は複雑かつ非効率という状態にありました。

マクナマラは、その手始めとしたのがTFX(次世代戦闘機)計画でした。

この計画の最大の特徴は、空軍と海軍が個別に所有する戦闘機を統一することで、航空機調達のコストを下げ、両軍での部品共有率を上げることで運用効率を上げ、運用コスト削減につなげようとするものでした。

それが、F-111です。空軍向けの攻撃機A型、海軍向けの艦隊防空戦闘機B型が並行開発されました。

しかし、海・空軍からは異なる要求仕様が出されました。

海軍は空母艦載機として軽量かつコンパクトな機体、高い迎撃戦闘能力。空軍は大量の爆弾を搭載し、高速かつ低空侵入能力。相反する要求が出され、両軍の要求を満たそうとすれば、互換性は失われるというどっちつかずの機体となりました。

高いコンセプトは讃えられるものですが、生み出されたのは凡庸な機体という結果に終わりました。

これにより、海軍は高い空戦能力と高価格のF-14戦闘機を獲得し、空軍もF-15を獲得することになります。

これは、現在進められているF-35に共通したものとなるのではないでしょうか。

アメリカ空軍はF-22を運用していますが、1時間飛行させるのに23,282(約190万円)ドルの費用がかかるとされています。機体価格は345,000,000ドル(約280億円)というものとなりました。

F-22が余りにも先進技術を投入した機体となり合衆国政府が輸出を禁じたこと、国防予算の削減で当初見積もられた導入機数が大幅に減らされたことなどが挙げられます。

アメリカはF-22より性能が劣るものの、安価で運用効率の高いステルス戦闘機開発のため、F-35開発計画であるJSF計画に力を入れる必要が生まれました。

JSF計画は開発段階から開発費を出資する国、完成機を購入する国を募り、その出資額や購入機数に応じて計画参加国を4段階にランキング化しました。高いランクに位置付けられる国は高性能の機体、低い国にはそれなりの性能の機体を提供するという方式を採り入れました。

これにより合衆国は自国が負担する開発リスクと費用軽減を図ることができ、開発メーカーは事前に予定生産数が把握できるようになりました。購入を希望する国が増えれば、1機当たりの生産コストは下がり、これによりF-35は廉価版ステルス機というキャッチコピーが使われるようになったのです。

2001年当時、合衆国軍のF-35調達予定数は2,866機、総予算は233,000,000,000ドル、1機当たりの調達価格は81,000,000ドルとされていました。

しかし、2012年時点で総調達数が2,457機、総予算397,100,000,000億ドル、1機当たりの調達価格は162,000,000ドルで01年当時の2倍に達しました。

計画の遅れは様々な問題を生んでいますが、日本では2016年度末までに42機のF-35を1機当たり99億円で調達するとしていましたが、その後、アメリカの調達価格は約130億円以上と見積もられ、日本のF-35は頓挫する寸前にあるのです。

しかし、こうした問題は防衛省・航空自衛隊からは何の発表もありませんし、追及するマスコミも存在していません。

尖閣諸島での日中軍事衝突が懸念される事態となっていますが、いかに強力かつ有効な兵器を持っていたとしても、その能力を発揮する作戦を立案できないのであれば宝の持ち腐れとなります。

子供のオネダリでは済まされないのです。

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