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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :05/04/16:56

05150800 東日本大震災は歴史を変えた ~天皇陛下と自衛隊~

私が入隊したのは冷戦真っ只中。

陸自は北海道で演習していると無線機から女性の流麗ロシア語が飛び込んできたり、海自は日本海を航行するソ連艦隊を追尾していると搭載された砲がこちらに向けられたり、空自がスクランブルすると爆撃機の機銃が向けられたりと、現在では都市伝説のような話がたくさん耳にしました。

そんな事態が起きているとも知らないのか、制服を着て街を歩けば「税金泥棒」と言われたりすることもあったが奇異な目を向けられるのは当たり前の時代でした。

東日本大震災での災害派遣活動を多くの人が目にしながらも、未だに「違憲」の存在とする教科書すら見られます。






とにかく息を潜めるか、気配を消していることが自衛隊員の仕事の一つであるかのような日々を鮮明に記憶しています。

皆さんも災害現場で救助活動するテレビや新聞などの映像などを目にされたことでしょう。しかし、そこには警察官や消防隊員の姿はあっても、災害派遣されている自衛隊員の姿はありませんでした。

ですから、「自衛隊の災害派遣は何しているの?」と尋ねられたことがあるほどです。

大江健三郎はコラムで、「ここで十分に政治的な立場を意識してこれをいうのだが、ぼくは、防衛大学生をぼくらの世代の若い日本人の弱み、一つの恥辱だと思っている。そして、ぼくは、防衛大学の志願者がすっかりなくなる方向へ働きかけたいと考えている」と否定しました。

返還された沖縄では、隊員の成人式への参加妨害、隊員子女の小中学校への転校拒否など、「人権侵害」が罷り通る時代でした。

しかし、そのような時代を過ごし、海外での災害や支援に自衛隊が派遣されるようになると、気配を消していた存在がようやく機能する組織であることが認識されるようになりました。

そして、東日本大震災で自衛隊は国民の側に立つ存在であること、国民共通の組織であることが認識されるようになりました。

一部のメディアで、陛下が自衛隊を嫌っていらっしゃるような記事を目にしたことがあります。

かつての戦争を体験され、制服の軍人に嫌悪されているのかと素直に受け止めていました。

しかし、東日本大震災後、陛下が発せられたお言葉に、被災地で活動する様々な人々の労を労われる部分があり、そこに「自衛隊」が最初に発せられたのは、退職した身ではありますが、胸が熱くなりました。

その後も信じられない光景を何度も目にしました。

陛下が被災地を訪れられ、活動中の自衛隊高級幹部にお声を掛けられていたのです。

戦後史の中で、私の知る限り「初めて」のことではないでしょうか。

自衛隊はオリンピックなど数々の支援をしてきましたが、陛下のご拝謁を許されることはありませんでした。

ここまで徹底されると、それが陛下のご意思であると思い込んでも何ら不思議はありません。

天皇陛下に対する意見は民主主義国家ですから様々なものがあって当然であり、それを表明する自由も保障されています。

しかし、東日本大震災とその後の陛下のご公務から伺えるのは、陛下こそ日本国民の安寧を願われ、その体現のためには御身を厭わないということです。

日本の政治家・官僚の中に陛下のように国民のことを第一に考える人材はあるのでしょうか?

右翼文学者と認識していた三島由紀夫ですが、彼の言葉が浮かんできます。

「防衛は国の基本的な最重要問題であり、これを抜きにして国家を語ることはできぬ。 物理的に言つても、一定の領土内に一定の国民を包括する現実の態様を抜きにして、国家といふことを語ることができないならば、その一定空間の物理的保障としては軍事力しかなく、よしんば、空間的国家の保障として、外国の軍事力(核兵器その他)を借りるとしても、決して外国の軍事力は、他国の時間的国家の態様を守るものではない」

三島は自決の際に、檄文の中でこう述べています。

「自衛隊は敗戦後の国家の不名誉な十字架を負ひつづけて来た。自衛隊は国軍たりえず、建軍の本義を与へられず、警察の物理的に巨大なものとしての地位しか与へられず、その忠誠の対象も明確にされなかつた」

東日本大震災後、日本は変わったのか、まだその過渡期なのか、それとも何も変わらぬまま進むのか、私如き人間にはそれはわかりません。

しかし、東日本大震災は変わる機会を与えてくれたのは事実であり、変わるべき時であることを知らしめたのではないでしょうか。

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