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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :05/21/07:48

06230800 体験的いじめの考察

04年に海自護衛艦「たちかぜ」の乗組員が自殺し、遺族が損害賠償を求めていた裁判で、これまで海自はいじめの有無を調査した「たちかぜ」乗組員へのアンケートを破棄したと説明していたものが、破棄されず〝見つかった〟と発表されました。

この事実が明らかになったのは、一審で国側指定代理人であった現役3等海佐が、「海自は資料を隠している」との陳述書を提出したのが発端でした。経験上、3佐の行為は職を賭すもので、私の中では「英雄」として賞賛されるべき行為だと認識します。






自衛隊内のいじめについては、巷間に流れているものを一元的に捉えて「自衛隊はいじめの巣窟」と断定できないと思います。

私はいじめの対象にされていた人間ですが、陸海空の空気の違い、さらに職種による違いなど様々な理由から自衛隊=いじめの巣窟とはできないと私は感じています。

自衛隊でのいじめを、旧軍の悪しき伝統を受け継いでいると見ている方もいますが、私はまったく違うと思います。

私の経験から言わせていただければ、自衛隊でのいじめの根本にあるのは「階級社会」が生んだ「官僚思考」の産物だと思っています。

私の場合、発端は些細なことからでした。経験とこれまで見てきたことからお話をします。

自衛隊ではどのコース(自衛官候補、一般曹候補、航空学生、防衛大学校等)で入隊しても、基礎課程が終わると職種を選択することになります。

本人の希望と適性により、職種が決められますが、人手不足が慢性化している自衛隊では適性よりもゴネるのが職種を決める第一の方法です。

「そこに行けないなら辞めます」というのが、自分の進みたい職種に進む第一歩です。

自衛隊は能力の高い人間を、ここで潰してしまいます。

基礎課程でいかに優秀であっても、職種選びはゴネた奴が優先されます。

逆に優秀であればあるほど、適性は幅広くなるので「おまえは自分の希望した職種どこにでも行ける」と言われる人間は、ここでゴネた奴の尻拭いをすることになります。

この職種選択時期が一つの分岐点になります。

それまでパッとしなかった奴が、急に表舞台に飛び出すのですから当然です。

「花形の職種に進めた!」この自信が、日陰から表舞台に立ったスター候補のようになるのです。

私の見てきた奴では、それまで運動もろくにしない肥満体型だった奴が、花形の希望職種に進めることが決まった途端、率先して周りに声を掛けてランニングに出るなんて当たり前のことでした。

能力が低いのにゴネて得した奴の陰には、能力の高い人間が職種を譲っている事実を当然知るはずもありません。周囲も知るはずもなく、知っているのは譲った人間だけ。

周りの評価も、「希望職種に行ける」というお墨付きが出たわけですから変わってきます。

ここで、この表舞台に飛び出したスター候補のご機嫌を損ねようものなら大変です。

それまでは日陰に身を置いていたわけですから、陰湿極まりないことをやってきます。いじめの始まりです。

周りは希望した職種に行けないと悲嘆にくれているわけですから、スター候補に追従するようになります。

基礎課程が終わり、職種に合わせてそれぞれの学校に進みますが、スター候補様と同じ学校に進むといじめのターゲットにされた隊員は辞めるまでいじめのターゲットにされます。

自衛隊では職種によって学校が点在していますが、同じ学校でも高校や大学のように学科や学部が違っても同じ敷地内にあるわけですから、いじめがなくなることはありません。

そこに新たな顔ぶれも加わり、いじめはさらにエスカレートしていきます。

職種教育期間中、いじめは繰り返されていきます。

現在、係争中の海自護衛艦でのいじめのような暴行や恐喝はありませんが、同階級でのいじめは仲間はずれ、集団での無視などです。

いじめられる側が、パッとしなければエスカレートすることはありませんが、スター候補様に職種を譲れるだけの人間だったりすると、陰湿さは増していきます。

職種学校でのいじめは、部隊配置になっても続きます。

一人で配置になれば問題はないのですが、スター候補様と離れられたと喜んでばかりいられません。同期何人かで部隊に配置になれば、「いじめ」の話はついて回ります。

部隊でのいじめはエスカレートします。

自衛隊では個人の能力よりも、まず集団に溶け込めるかが第一に重視されます。カモフラージュを巧みに施し、周りの景色にいかに溶け込めるかというわけではありませんが、朱に交われば修羅シュシュシュ!です。

いじめのターゲットにされていた隊員が配置されるというだけで、部隊は〝警戒態勢〟に入ります。

部隊からすれば、集団に交われない人間が来る=チームワークが乱されると解釈されますので、どうしても警戒するようです。

指揮官が上昇志向が強かったり、定年間際だったりすると最悪です。

いじめのターゲットにされている人間は、保身第一の指揮官だったりすると懐に爆弾を抱えたようなものですから、部隊の緊張度はさらに増していきます。

こうなると、いじめのターゲットにされた人間は辞めるしか道はありません。

なにせ指揮官みずからいじめを容認するのですから、命令書にハンコが押されたようなものです。

こうした部隊では、「いじめを受けている人間」ではなく「集団に溶け込めない人間」として扱われるのです。

中には中堅幹部に人徳者がいて救われることもありますが、こうした人徳者も苦労を重ねてきただけあって、いじめのターゲットにされている人間には地獄に仏ですが、すぐに目の前から消えていくことになります。

こうした人は、責任を上から押し付けられてしまうのです。転属や潔く辞めていってしまい、いじめのターゲットの前から姿を消してしまいます。

地獄の日々の始まりです。

「点検」と称して居住区を回り、あれこれ問題点を見つけてあからさまないじめが公然と行われるようになります。女性からの手紙が多い=女好き、きわどい雑誌を見ている=変態など誹謗中傷ネタに事欠くことはありません。

部隊配置されたばかりで、外出しても右も左もわからないのに、先輩からは無視され、ターゲットにされてしまっている隊員はパチンコか飲み屋に出入りするくらいが関の山です。

同期の世渡りの巧い奴は、先輩に取り入りあれこれ先輩が付き合ってくれるのですが、いじめの情報はさらに広まっていきます。

ここで、部隊によっては暴行など起きるのかも知れません。

部隊にとって「問題のある人間」は、部隊にいる「問題のある人間」に任せればいいというのが、保身第一の指揮官の考えそうなことですから、その人間(部隊にいる問題のある人間)の度量で暴行などに繋がっていくのだと思います。

いじめられると部隊では酒とパチンコ、散財するのは当然です。

ここで、金銭問題を抱え込むことになり、ターゲットは泥沼にはまり込んでしまうのです。〈金銭問題が自殺の理由だとするのは、拙速であり事実を無視しているのか、隠蔽していると私は思います〉

気がついたら「自殺」するしか先がない、そんな状態になっているのです。

私もいじめを体験しましたが、ストレス要因による解離性障害でいじめの記憶を無くしていました。人権にかかわるような行為もあり、民事裁判を起こせる状況でしたが、いじめを思い出したのは時効を過ぎてからでした。

当時、家族にも何の説明もできなかったのです。記憶がなかったのですから当然です。

記憶を取り戻せたのは、家内のおかげだとかげながら感謝しています。

この経験からでも、自衛隊をいじめの巣窟といえないと思っているのは、私を支えてくれたのは他部隊の先輩の存在があったからです。

頑として「辞める!」という私に、「○○、制服も新しいデザインになるんだからもう少し頑張れよ」と言ってくれました。かたくなだった私を説得する材料がなかったのだと思います。

旧軍のイメージでは、いじめは日常的に行われていたとされていますが、私は戦史が好きで様々な文献など読んでいますが、指揮官によっていじめはなかった部隊や時期もありました。

単にいじめをなくす指示をしただけでなく、その指示が徹底されているか見極める努力をした指揮官の部隊ではという前提条件が付きますが。

自衛隊も同じです。

ただ、部隊の重要度、指揮官の保身度、配置されている隊員の能力によって、いじめの有無が決まるのではないでしょうか。

私はもっと自衛隊内のいじめでは、いじめに遭っている隊員は声を上げるべきだと思います。左派的思考の団体や弁護士ではなく、中間派の厳正・冷静に対処してくれる人たちももって彼らに手を差し伸べるべきです。

私も遅ればせながら、いじめに遭っている隊員の皆さんに何かできればと相談を受けたいと思います。知り合いの弁護士もいますので、法的な対応も可能です。

コメントをいただければ、こちらから連絡させていただきます。もちろん、秘密は厳守いたします。

このように、海自が資料を隠蔽していたのも、私は理解できます。

護衛艦という小さな世界での出来事ですから、いじめを知らなかったといのは、当時の艦長をはじめとする幹部はウソを言っているのは自衛隊を知らない世界の人でもわかります。

艦長の上級職の人間が、いじめを隠蔽しようとし、資料を存在しないものとしたのが今回の事実です。ということが、常識的に考えれば、艦長、艦長を管理監得する職にある人間もいじめの存在を認識していたというわかりやすい展開になっています。

おかしな判断をしない裁判官であればいいのですが…。

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