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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :05/19/13:05

04150800 北朝鮮は戦争に出るのか

奇襲、強襲、急襲の違いをご存知でしょうか。

奇襲:敵が予想しない時期・場所・方法で組織的な攻撃を加え、敵を混乱させて反撃の猶予を与えない攻撃方法です。

強襲:防御を固めた敵に対する圧倒的な戦力を用いて攻撃する方法。

急襲:不意を突き迅速かつ大規模な攻撃方法です。




北朝鮮危機は時間の経過と共に、見えないものが見えてくるようになりました。

北朝鮮は2月12日に強行した核実験に、国連は制裁決議を全会一致で採択し、北朝鮮は反発する動きを見せていました。

そこに米韓合同演習が毎年3月~4月に行われますが、北朝鮮はこの合同演習を利用し反発を露わにしました。

北朝鮮の国連決議に対する反発は、「休戦協定の完全白紙化」宣言をしましたが、この時、人民軍事最高司令部報道官は「集団的な制裁はまさに北朝鮮への宣戦布告であり、戦争行為だ」と主張しています。

つまり、この危機の発端は北朝鮮の核実験であり、それに対する国連の制裁決議への反発なのです。

「休戦協定白紙化」と宣言した北朝鮮ですが、朝鮮戦争の休戦協定は北朝鮮軍・中国軍・国連軍の三者により署名されたもので、北朝鮮は国連に対し休戦協定を破棄を通告したと見るべきでしょう。

そこに、北朝鮮は中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」の北朝鮮東岸部への移動を見せつけ、ウォーム状態をホットへと向かわせました。

「ムスダン」の移動で一気に緊張が高まりましたが、これには理由があります。

「ムスダン」は旧ソ連の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)R-27を改造し地上発射型にし、さらに移動式としました。

移動式弾道ミサイルは兵器としては、サイロ式のミサイルに比べ自位置の正確な測定が難しくなりミサイルの精度が落ちますが、その一方では、1日に1回しか来ない偵察衛星の目をくらますことが容易で、湾岸戦争ではイラクの移動式発射台付車両(Transporter Erector Lancher:TEL)の発見に多国籍軍は失敗したほどで、移動式ミサイルの有効性を証明しています。

厄介な代物を北朝鮮は引っ張り出し、これ見よがしに東岸部に移動したのです。

日米韓は北朝鮮の本気度を探る必要性が出てきたわけですが、そこで問題になるのは〝時間〟です。

北朝鮮は私が説明するまでもなく、通常戦力ですら韓国に劣り、米韓連合軍との勝利など夢のまた夢です。

唯一、北朝鮮が戦争に打って出るとすれば奇襲以外に方法はありません。

奇襲攻撃で韓国を混乱に陥れ、有利な状況で停戦交渉に持ち込むことくらいが関の山です。

しかし、北朝鮮は(戦端を開くのが)本気であるかのように見せ、ミサイルまで移動させたのに、時間の経過と共に日米韓に対応策を取らせる充分な時間を与えてしまうこととなりました。

勝算のない戦争では、この時間の経過は致命的失敗です。ここから、北朝鮮は戦争の意思がないと判断できます。

ここまでお話したように、北朝鮮危機は北朝鮮がこれまでにない演出で危機を煽っているわけなのですが、これまでにない演出で瀬戸際外交をする必要性が北朝鮮国内にあるという推測も成り立ちます。

北朝鮮の問題とは何か。

そして、この緊張状態は偶発的な戦闘が起こる可能性も非常に高く、それが全面戦争に発展する危険性も高いことを私たちは知っておくべきでしょう。

これまでにない危機を煽るやり方は、北朝鮮がどこで振り上げた拳を下ろせるのかということも考えなければなりません。偶発的な衝突と、最も怖れなければならないのは、この拳を下ろせる着地点を誰が導き出せるかということです。

このように、北朝鮮危機は戦争の可能性が低くなったからと安心できるものではないのです。

時間の経過は、戦争の危機が遠ざかった反面、偶発的な戦闘、北朝鮮側の事態収拾と問題はさらに深刻なものになっているのです。

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