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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :05/16/10:29

12170800 元自衛官が考える原発問題

争点が全くわからない選挙でした。

これを書いているのは、まだ選挙結果が出ていない段階ですので、選挙結果については日を改めてさせてコメントいただきます。

今回の数少ない「争点」であったのが、「原発問題」です。




原発問題の端緒となった東京電力福島第一原子力発電所(以下、「福島第一原発」)事故ですが、原発を再稼働させるにしても、廃止にするにしても福島第一原発事故について、何の精査も受けず公表されている緊急炉心冷却装置(ECCS:Emergency Core Cooling System)への作動電源の喪失だけが事故原因とされていますが、電源喪失だけが事故原因なのでしょうか。

これでは、地震や津波に襲われても電源さえ確保されていれば、同様の事故は起きないことになります。このような単純な論法で、重大な原発事故を片付けてしまって本当にいいのでしょうか。

原発に使われている原子炉は、「加圧水型」と「沸騰水型」があります。

余談ですが、加圧水型原子炉は世界最初の原子力潜水艦となった米海軍の「ノーチラス」に搭載されたもので、これを設計・製作したウェスティングハウス・エレクトリックが、販路拡大のために「核の平和利用」というキャッチコピーで西側世界に売り込みました。

ウェスティングハウス・エレクトリックに対抗して、ゼネラル・エレクトリックが開発した原子炉が、「より簡単な構造」にして売り出されたのが沸騰水型原子炉です。

ちなみに原子力潜水艦はずべてが加圧水型原子炉です。これは、潜水艦が海洋・気象状態や艦の機動により船体が揺れたり、傾いたりした場合に沸騰水型原子炉では十分な冷却が行えないことが懸念されるためです。

さらに、沸騰水型原子炉は加圧水型原子炉に比べメルトダウン(核燃料棒溶融)が起きた場合、構造的に圧力容器の下にある圧力抑制プールの水と反応して水蒸気爆発を起こしやすい構造です。

福島第一原発事故は、原子炉自体に問題はなかったのか、全く議論されていませんが、これでは片手落ちどころか意図的なものが感じます。

そして、福島第一原発は1970年代の製造で、当初の計画では30年で廃炉にされる予定でしたが、新規の原発用地の取得が難しくなり、2005年に最大で60年間の使用延長が認められました。

当然、この延長に対応した補修は行われているでしょうが、原子炉の圧力容器は中性子照射脆化が起きているとされています。

これは、中性子の照射により原子炉圧力容器の鋼材に組織変化が起き、容器の強度が脆くなっているとされ、経年化した原子炉は炉内の温度上昇・緊急冷却により、圧力容器が破損する可能性が懸念されているのです。

福島第一原発事故と同様の事故が、日本海側の原発で起きた場合…本州の中央部は放射能汚染されます。

それでは、原発の廃止が早急に必要なのかというと、それは簡単ではありません。

「原発のすべてが停止しても、真夏の昼間を別にすれば供給電量は十分である」と反原発論者が持ち出す論理ですが、これは火力・水力発電をフル稼働させれば、数字上は可能なのでしょうが、定期点検やトラブル無しで稼動させるのは不可能で、この論理は砂上の楼閣です。

1973年のオイルショックで日本は原発により電源の確保を要とし、高速増殖炉の実用化を目指しました。

原発は不測の事態に大きなリスクがあることを福島第一原発事故は証明しました。

原発は廃炉にしても、半永久的な放射性廃棄物の貯蔵コストなどを考えると、決して得策な発電方法だとはいえません。

ちなみに、原子力を動力とする空母と通常動力の空母のライフサイクル・コストを比較すると、原子力空母を100とすると通常動力空母は63.4になるとされています。

原発再稼働・廃止は尚早であり、まずは私たちがこれまでに築いてきた社会を見直すことが必要です。

「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」の社会システムを変えなければ、原発への依存は捨てることはできないでしょう。

そして、原発に「地域格差」があったことも知らなければなりません。

首都圏の電力をまかなうために、福島県民に多くの犠牲を強いた事実は消せるものではないのです。

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