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新・元自衛官の憂い  ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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  • :03/12/20:50

02121938 ハリアー 2

ハリアーのお話をしてきましたが、〝ハリアー〟とは小型の猛禽類で、図鑑などを見るとなかなか精悍な顔をしています。





原型機の初飛行が1960年であることをお話しましたが、ハリアーは70年代に入ると能力の限界に達していました。

ハリアーを含むVTOL機は理論上は滑走路を必要とせず、米海兵隊が重宝がるために誤解が生まれていますが、不整地での運用はできません。

実際に不整地で高圧・高速のジェット排気を地面に吹き付ければ、土砂や砂塵が舞い上がるのはわかりきっていますが、これが周囲だけでなく機体本体やエンジンに吸い込まれ損傷してしまうため、前線で使用することはできません。敢えて使用するのであれば、その準備は大きな負担となるでしょう。

ハリアーの場合、着陸だけは垂直で行い、離陸は固定翼機と同じ滑走をして離陸しています。離陸で垂直上昇すると、燃料消費が大きくなるだけでなく、武装した場合の重量増大は推力が不足してしまうためです。

映画『トゥルーライズ』で主演のアーノルド・シュワルツネッガーが乗ったシーンを思い出される方も多いと思いますが、ハリアーは後方視界が非常に悪いうえに、旋回性能も劣悪でした。しかし、米海兵隊の操縦マニュアルにない操作が、ハリアーの持つ〝異常な運動性能〟がわかりました。

前進飛行中に排気ノズルを急に下向きにしたところ、機首が30度も持ち上がることがわかりました。同時に高速飛行中では、機体に急ブレーキがかかり急減速することがわかりました。この操作を機体が傾いた状態で行うと、急激な旋回になることもわかりました。

米海兵隊は、推力偏向技術に注目し、1971年に研究担当将校を任命しました。

米海兵隊は前進中の推力ベクトルの偏向(VIFF)を使えば、最新鋭のF-14トムキャットとも対等以上に戦えることがわかりました。そして、ハリアーはパイロットがスロットルを動かすことなく加減速することができ、これまでの常識から考えると、異常な低速飛行や急旋回もできることがわかりました。

これまでの運動性能の常識を超越したハリアーは、直角に曲がるようにも見えたといわれています。

トムキャットの潜在的可能性調査の際に、ハリアーとトムキャットが対戦し、トムキャットの圧勝と思われた模擬戦闘で、米海兵隊パイロットの操縦するハリアーは、16回の戦闘で6回勝ち、3回負け、7回の判定不能という驚異的スコアーをのこしました。

現在運用されているハリアーは、米国が製造権を得て改修・再設計した発展型です。現在、運用されているハリアーは次の通りです。
●AV-8BハリアーⅡ 米海兵隊向け 単座近接支援型 夜間攻撃可能
●AV-8BハリアーⅡプラス 夜間攻撃用
●TAV-8BハリアーⅡ 米海兵隊向け 複座戦闘・練習機
●ハリアーGRMk.5 英空軍向け 単座 戦場航空阻止・近接支援型 ハリアーGRMk.5A Mk.7への転換
●ハリアーGRMk.7 英空軍単座 夜間攻撃型
●ハリアーGRMk.9 GRMk.7の電子機器更新 兵装強化モデル
●ハリアーTMk.10 英空軍向け 実用練習機型 TAV-8BハリアーⅡを参考に設計

性能
最大速度:マッハ0.89
フェリー飛行時航続距離:3,300km
航続距離:2,200㎞
上昇率:4,485m/min

武装
GAU-12U イコザイラー25㎜機関砲ポッド
ハードポイント:7ヵ所(5,986㎏)
AIM-9サイドワインダー
AIM-120AMRAAM
AGM-65マーベリック
レーダー誘導型爆弾
自由落下型爆弾

ご記憶の方がいるかどうかわかりませんが、フォークランド紛争でハリアー/シーハリアーは驚異的なスコアを記録しますが、フォークランド紛争ではイギリス・アルゼンチン双方に制約があり、ハリアー/シーハリアーを評価しない意見もあります。しかし、模擬戦闘とはいえF-14との空対空戦闘のスコアを考えると、ハリアー/シーハリアーをもっと評価してもいいと思われます。

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