憂い next ver.
新・元自衛官の憂い
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03141026 | [PR] |
03171931 | JAPAN AIRFORCE One |
無知とは新聞記者のことでしょうか。
読売新聞に〝「空飛ぶ首相官邸」政府専用機はペアで飛行〟という記事がありました。
この程度の常識的な話が新聞に掲載されるとは、どんな〝お勉強〟をして新聞記者になるのでしょうか。
私は、『元』自衛官ですから常識的な話かもしれませんが、ちょっとした雑学程度でもペアで運用されているくらいはわかりそうなものです。
専門的な話をしますと、要人輸送任務を担当する場合、最低でも同型機3機で運用します。
要人搭乗用の主務機、随行者搭乗用の副務機、これに予備機で運用されます。2機で運用されている場合、1機が故障してしまえば予備機がなくなり、要人の移動が制限されることになり、最悪、1機の故障ですべての予定がキャンセルという事態になります。さらに2機で運用し、2機とも故障しないという保証はありません。危機管理上、2機での運用は大きなリスクを抱えての運用といえます。
現在運用中の2機を導入する際に、予算で3機分が計上されましたが、大蔵省の査定で撥ね付けられてしまいました。
せっかくですから、読売さんもこのくらいの説明はして欲しいです。
政府専用機についてお話します。
コールサインは〝JAPAN AIRFORCE One〟と〝JAPAN AIRFORCE Two〟ですが、これは任務中のもので、訓練など任務外では〝CYGNYS001〟と〝CYGNYS002〟となります。
これは、アメリカ大統領専用機〝エアフォース・ワン〟と同じですが、アメリカでは陸軍機〝アーミー・ワン〟、海軍機〝ネイビー・ワン〟、海兵隊機〝マリーン・ワン〟などが存在し、大統領が搭乗するとこれらのコールサインが使用されます。ちなみに、沿岸警備隊機に搭乗すれば〝コーストガード・ワン〟となりますが、現在までのところ該当はありません。民間機に大統領が搭乗すると、〝エグゼクティブ・ワン〟となります。
日本の政府専用機の内部は、前方から貴賓室、夫人室、秘書官室、会議室、事務室、随行員室、一般客室となっています。2階部分には25席の運航要員の座席となっており、コックピット後部に通信室、隊員休憩室があります。
用途は皇族、内閣総理大臣、またはこれに準じる要人輸送、緊急時における在外邦人の救援輸送、国際緊急援助活動、有事における自衛官の緊急輸送とされています。
アメリカのエアフォースワンに倣った政府専用機ですが、用途が限定されているため、もったいないというのが事実です。
2月12日、衆院予算委員会で国際会議出席のため政府専用機に閣僚を搭乗させたのが「無駄をなくす大臣が、政府専用機を使用したのはおかしい」と質問されたそうです。
新聞記者も新聞記者なら質問した議員も議員です。
この質問に、政府は運航費を明らかにし、「適切だった」と答弁したそうですが、皆さんレベルが低すぎるというか、導入までの経緯を何も知らない上に、政府専用機の本来のあるべき姿を知らなさ過ぎるのではと、老婆心ながら心配してしまいます。
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