憂い next ver.
新・元自衛官の憂い
ようこそ、時事&軍事雑学BLOGへ!
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02022147 | [PR] |
08290800 | 笛吹けども踊らず |
安倍政権は日本版NSCの創設を進めていますが、NSCが本当に日本に必要なのかという議論は置き去りにされ話は前に進められているような気がします。
安倍政権の目指すNSCは米国をモデルにするということですが、米国のNSCは日本が目指すだけの価値があるのでしょうか。
米国NSCは1947年に国家安全保障法により創設されました。冷戦期、共産主義の脅威は政治、軍事、経済、文化等広範囲に及んでおり、さらにシビリアンコントロールの観点から、軍に限定したものではなく各省で統合された政策(戦略)を立案するために調整する組織が求められていました。
米国は第二次世界大戦時に米陸海軍と国務省の調整を担当した3省調整委員会やイギリス帝国防衛委員会をモデルに設立されました。情報を提供する組織としてCIAが設立され、NSCの指揮下に置かれました。
議長:大統領、法的参加者:副大統領、国務長官、国防長官、軍事アドバイザー:統合参謀本部議長、情報アドバイザー:国家情報長官、定期的参加者:国家安全保障問題担当大統領補佐官、首席補佐官、国家安全保障問題担当次席補佐官、追加参加者:財務長官、司法長官、国土安全保障長官、ホワイトハウス法律顧問、国家経済会議委員長、国連大使、行政管理予算局局長等で構成されます。
米大統領は軍の最高司令官として指揮権を持っていますが、米国の憲法では宣戦布告は議会の決議を必要としています。しかし、議会の決議を待てないとして、宣戦布告無しで戦争を始めるのがベトナム以降慣行となっています。
ベトナム戦争の経験から、1973年に「戦争権限法」が改正され、事後48時間以内に議会への報告、60日以内に議会の承認を得ることと緩和されました。事後承認となったことで、戦争開始の決定はNSCで決まることになりました。
安倍政権では、現在の「安全保障会議」(首相・外相・財務相・総務相・経済産業相・国土交通相・防衛相・国家公安委員長・官房長官で構成)に代り、日本版NSCは首相・外相・防衛相・官房長官の4人が二週間に一度、統合幕僚長等を招き会合を開くそうです。
私は財務相を抜きにする理由が、理解できません。国家戦略を決定するには、財務相の存在は欠かせないと思います。
しかし、安倍政権の目指す米国のNSCがどれほどの業績を挙げてきたのかという疑問があります。
2003年3月、米英が主体となりオーストラリア、工兵部隊を送ったポーランドなどで有志連合が組織され、「イラクの自由作戦」が実行されました。
この前年、11月にイラクは国連安保理決議を受け入れ大量破壊兵器査察再開を認め、IAEAと国連監視・検証・査察委員会の専門家約230人が査察を行っていました。
査察で「イラクの妨害が無かった」「核・大量破壊兵器の保有・製造活動の証拠は無かった」と報告がなされましたが、米国大統領であったブッシュは米国の安全保障上のため措置を取るのに国連の許可は不要としてイラクに攻撃を開始しました。
イラクを4月まで制圧し、大量破壊兵器を探しますが、まったく証拠が見つかりませんでした。米国の信用は失墜し、イラクは内戦状態に陥りました。
イラクを混乱に陥れ、米兵の犠牲、予算の問題で米国は撤退を強行しました。
イラク侵攻は米国財政危機の原因になったといわれています。
この失態を招いたのはNSCの判断ミスであり、挙げられてきた情報が自分たちの戦略に必要なものだけに限定し、判断ミスを招いたのです。
歴史を見れば明らかですが、米国は第二次世界大戦以降、戦争や外交で決定的な勝利を手にしていません。
朝鮮戦争、キューバ危機、ベトナム戦争、イラン問題等を挙げれば明らかです。
唯一の勝利と言えば、ソ連が侵攻したアフガニスタンでの支援だけですが、その後の処理のミスでイスラム原理主義者を増長させ、現在の混乱を招いてしまいました。
失敗続きの組織を真似るとは、日本人として看過できるものではありません。
ハーメルンの笛吹き男伝説がありますが、日本では笛吹けど踊らずという言葉もありますので、安倍センセイお気をつけください。
安倍政権の目指すNSCは米国をモデルにするということですが、米国のNSCは日本が目指すだけの価値があるのでしょうか。
米国NSCは1947年に国家安全保障法により創設されました。冷戦期、共産主義の脅威は政治、軍事、経済、文化等広範囲に及んでおり、さらにシビリアンコントロールの観点から、軍に限定したものではなく各省で統合された政策(戦略)を立案するために調整する組織が求められていました。
米国は第二次世界大戦時に米陸海軍と国務省の調整を担当した3省調整委員会やイギリス帝国防衛委員会をモデルに設立されました。情報を提供する組織としてCIAが設立され、NSCの指揮下に置かれました。
議長:大統領、法的参加者:副大統領、国務長官、国防長官、軍事アドバイザー:統合参謀本部議長、情報アドバイザー:国家情報長官、定期的参加者:国家安全保障問題担当大統領補佐官、首席補佐官、国家安全保障問題担当次席補佐官、追加参加者:財務長官、司法長官、国土安全保障長官、ホワイトハウス法律顧問、国家経済会議委員長、国連大使、行政管理予算局局長等で構成されます。
米大統領は軍の最高司令官として指揮権を持っていますが、米国の憲法では宣戦布告は議会の決議を必要としています。しかし、議会の決議を待てないとして、宣戦布告無しで戦争を始めるのがベトナム以降慣行となっています。
ベトナム戦争の経験から、1973年に「戦争権限法」が改正され、事後48時間以内に議会への報告、60日以内に議会の承認を得ることと緩和されました。事後承認となったことで、戦争開始の決定はNSCで決まることになりました。
安倍政権では、現在の「安全保障会議」(首相・外相・財務相・総務相・経済産業相・国土交通相・防衛相・国家公安委員長・官房長官で構成)に代り、日本版NSCは首相・外相・防衛相・官房長官の4人が二週間に一度、統合幕僚長等を招き会合を開くそうです。
私は財務相を抜きにする理由が、理解できません。国家戦略を決定するには、財務相の存在は欠かせないと思います。
しかし、安倍政権の目指す米国のNSCがどれほどの業績を挙げてきたのかという疑問があります。
2003年3月、米英が主体となりオーストラリア、工兵部隊を送ったポーランドなどで有志連合が組織され、「イラクの自由作戦」が実行されました。
この前年、11月にイラクは国連安保理決議を受け入れ大量破壊兵器査察再開を認め、IAEAと国連監視・検証・査察委員会の専門家約230人が査察を行っていました。
査察で「イラクの妨害が無かった」「核・大量破壊兵器の保有・製造活動の証拠は無かった」と報告がなされましたが、米国大統領であったブッシュは米国の安全保障上のため措置を取るのに国連の許可は不要としてイラクに攻撃を開始しました。
イラクを4月まで制圧し、大量破壊兵器を探しますが、まったく証拠が見つかりませんでした。米国の信用は失墜し、イラクは内戦状態に陥りました。
イラクを混乱に陥れ、米兵の犠牲、予算の問題で米国は撤退を強行しました。
イラク侵攻は米国財政危機の原因になったといわれています。
この失態を招いたのはNSCの判断ミスであり、挙げられてきた情報が自分たちの戦略に必要なものだけに限定し、判断ミスを招いたのです。
歴史を見れば明らかですが、米国は第二次世界大戦以降、戦争や外交で決定的な勝利を手にしていません。
朝鮮戦争、キューバ危機、ベトナム戦争、イラン問題等を挙げれば明らかです。
唯一の勝利と言えば、ソ連が侵攻したアフガニスタンでの支援だけですが、その後の処理のミスでイスラム原理主義者を増長させ、現在の混乱を招いてしまいました。
失敗続きの組織を真似るとは、日本人として看過できるものではありません。
ハーメルンの笛吹き男伝説がありますが、日本では笛吹けど踊らずという言葉もありますので、安倍センセイお気をつけください。
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