憂い next ver.
新・元自衛官の憂い
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02091111 | [PR] |
10150800 | 機動戦闘車とはいったい何? |
私は異形装甲車両が大好きです。
そんな私が先ごろ公開された「機動戦闘車」を見て〝カッコイイ!〟と一目惚れしたのは言うまでもありません。
イタリアの「チェンタウロ」はお気に入りのトップでしたが…機動戦闘車を見て、チェンタウロにソックリなのには笑ってしまいました。
元カノへの未練ではありませんが、チェンタウロはイタリアの実情に合ったものであり、イタリアの国防上必要と認められて生まれたものです。
イタリアは国土が南北に伸びた半島国家で、海岸線全てに敵の上陸に備えて部隊を配備しおくのはほぼ不可能です。そこで、イタリアは大陸に繋がる北部に主力の戦車部隊を配し、南部には機動性の高い軽装備の部隊で対応する方針を採っています。
チェンタウロは有事となれば、高速道路網を利用して迅速に必要な場所に展開するのを第一とし、防御力を犠牲にして火力と機動力を高めた「火力支援車」です。
チェンタウロは装輪装甲車でありながら52口径105mmライフル砲を搭載していますが、装甲防御力が低いため対戦車戦闘では戦車と撃ち合いはできません。
このように、チェンタウロははっきりとした戦術の下に運用されている車輌であることがわかります。
さて、私が「カッコイイ!」と思った機動戦闘車ですが、陸自はどういった場面で使用しようとしているのでしょうか。
産経新聞では、「機動戦闘車の開発は、緊張が続く中国との関係もにらんだ離島防衛強化策の一環」「重量は10式戦車が約44トンなのに対し、機動戦闘車は約26トンと軽量で、戦車では不可能だった空輸が可能。最高速度も時速100キロで、市街地でも自在に移動可能」ともう万々歳状態です。初公開ですからご祝儀のよなもの理解すべきです。
まず、不思議なのは機動戦闘車が機甲科・普通科(歩兵科)が運用するのか決まっていないようです。
防衛省技術研究本部は、「機動戦闘車は、戦闘部隊に装備し、多様な事態への対処に優れた機動性及び空輸性により迅速に展開するとともに、大口径砲により敵装甲戦闘車両及び人員に対処するために使用するものです」と説明しています。
〝戦闘部隊〟とは曖昧で、運用がどこを担当するのか決まっていないと推測できます。
これでは、チェンタウロのようにハッキリとした運用を決めず開発した証拠であり、開発することは無駄というものです。
10式戦車では売り物となったC4Iシステムを搭載したことが伝えられましたが、機動戦闘車についてはC4Iは搭載されていないようです。
私は機動戦闘車は中途半端であり、不要な対戦車砲を積んだ代物にしか見えません。
戦車レベルの装甲防御力はなく、砲兵砲としては高価であり、偵察車両としても大きすぎる砲とチグハグなものです。
機動戦闘車を理解しようとすれば、対戦車自走砲であり、装甲は小火器から乗員を守れる程度では、戦車と撃ち合うことのできない対戦車砲ということになります。
産経新聞の「離島防衛強化策」の意味が全くわかりません。
侵攻を予測し事前に配備するのか、侵攻後に反撃に使用するのかわかりません。
離島防衛は陸上戦闘力よりも、制海権・制空権を先取するのが第一であり、陸上戦力は付け足し程度でいいはずです。事前に配備されていたとしても、敵が上陸してくるのであれば、制海・制空権は敵に把握されており、補給の問題も出てきます。
百歩譲って離島防衛に使うとしても、浮航性もなく、自慢の空輸性を発揮しても離島にまでどうやってたどり着くのでしょうか。
戦車としては脆弱であり、整地走行は時速100キロを出せても、必要性を見い出すことができない残念な結果です。
日中間がヒートアップしている中、離島防衛と言えば予算が付くのは目に見えています。「原発等の重要施設防護」も挙げられていますが、徒歩移動で軽装備のゲリラ・コマンド部隊に不整地走行に劣る装輪車両というのは誰が考えても無理があることは明らかです。
原発等の重要施設防護には、96式装輪装甲車と87式偵察警戒車で充分です。
これでは、カネをかけて開発して制式化しても満足な数も揃えられず、予定採用数が揃うまでに初期採用された車両は用途廃止になることでしょう。
国産兵器を信奉するのも結構なことですが、開発費を考えると必要数を輸入するというのも考えておくべきではないでしょうか。
兵器は必要性が論じられ、そこから新たな技術や国産技術を結集して、その国の国情に合ったものが造られるのが当然あり自然なのです。
使えない物をこしらえて、それを後付の理由を考えるのは納税者への冒涜であり、背信行為であることを我々は知るべきであり、それを知らしめるのも我々の義務です。
そんな私が先ごろ公開された「機動戦闘車」を見て〝カッコイイ!〟と一目惚れしたのは言うまでもありません。
イタリアの「チェンタウロ」はお気に入りのトップでしたが…機動戦闘車を見て、チェンタウロにソックリなのには笑ってしまいました。
元カノへの未練ではありませんが、チェンタウロはイタリアの実情に合ったものであり、イタリアの国防上必要と認められて生まれたものです。
イタリアは国土が南北に伸びた半島国家で、海岸線全てに敵の上陸に備えて部隊を配備しおくのはほぼ不可能です。そこで、イタリアは大陸に繋がる北部に主力の戦車部隊を配し、南部には機動性の高い軽装備の部隊で対応する方針を採っています。
チェンタウロは有事となれば、高速道路網を利用して迅速に必要な場所に展開するのを第一とし、防御力を犠牲にして火力と機動力を高めた「火力支援車」です。
チェンタウロは装輪装甲車でありながら52口径105mmライフル砲を搭載していますが、装甲防御力が低いため対戦車戦闘では戦車と撃ち合いはできません。
このように、チェンタウロははっきりとした戦術の下に運用されている車輌であることがわかります。
さて、私が「カッコイイ!」と思った機動戦闘車ですが、陸自はどういった場面で使用しようとしているのでしょうか。
産経新聞では、「機動戦闘車の開発は、緊張が続く中国との関係もにらんだ離島防衛強化策の一環」「重量は10式戦車が約44トンなのに対し、機動戦闘車は約26トンと軽量で、戦車では不可能だった空輸が可能。最高速度も時速100キロで、市街地でも自在に移動可能」ともう万々歳状態です。初公開ですからご祝儀のよなもの理解すべきです。
まず、不思議なのは機動戦闘車が機甲科・普通科(歩兵科)が運用するのか決まっていないようです。
防衛省技術研究本部は、「機動戦闘車は、戦闘部隊に装備し、多様な事態への対処に優れた機動性及び空輸性により迅速に展開するとともに、大口径砲により敵装甲戦闘車両及び人員に対処するために使用するものです」と説明しています。
〝戦闘部隊〟とは曖昧で、運用がどこを担当するのか決まっていないと推測できます。
これでは、チェンタウロのようにハッキリとした運用を決めず開発した証拠であり、開発することは無駄というものです。
10式戦車では売り物となったC4Iシステムを搭載したことが伝えられましたが、機動戦闘車についてはC4Iは搭載されていないようです。
私は機動戦闘車は中途半端であり、不要な対戦車砲を積んだ代物にしか見えません。
戦車レベルの装甲防御力はなく、砲兵砲としては高価であり、偵察車両としても大きすぎる砲とチグハグなものです。
機動戦闘車を理解しようとすれば、対戦車自走砲であり、装甲は小火器から乗員を守れる程度では、戦車と撃ち合うことのできない対戦車砲ということになります。
産経新聞の「離島防衛強化策」の意味が全くわかりません。
侵攻を予測し事前に配備するのか、侵攻後に反撃に使用するのかわかりません。
離島防衛は陸上戦闘力よりも、制海権・制空権を先取するのが第一であり、陸上戦力は付け足し程度でいいはずです。事前に配備されていたとしても、敵が上陸してくるのであれば、制海・制空権は敵に把握されており、補給の問題も出てきます。
百歩譲って離島防衛に使うとしても、浮航性もなく、自慢の空輸性を発揮しても離島にまでどうやってたどり着くのでしょうか。
戦車としては脆弱であり、整地走行は時速100キロを出せても、必要性を見い出すことができない残念な結果です。
日中間がヒートアップしている中、離島防衛と言えば予算が付くのは目に見えています。「原発等の重要施設防護」も挙げられていますが、徒歩移動で軽装備のゲリラ・コマンド部隊に不整地走行に劣る装輪車両というのは誰が考えても無理があることは明らかです。
原発等の重要施設防護には、96式装輪装甲車と87式偵察警戒車で充分です。
これでは、カネをかけて開発して制式化しても満足な数も揃えられず、予定採用数が揃うまでに初期採用された車両は用途廃止になることでしょう。
国産兵器を信奉するのも結構なことですが、開発費を考えると必要数を輸入するというのも考えておくべきではないでしょうか。
兵器は必要性が論じられ、そこから新たな技術や国産技術を結集して、その国の国情に合ったものが造られるのが当然あり自然なのです。
使えない物をこしらえて、それを後付の理由を考えるのは納税者への冒涜であり、背信行為であることを我々は知るべきであり、それを知らしめるのも我々の義務です。
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