憂い next ver.
新・元自衛官の憂い
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02091159 | [PR] |
01090800 | ゼロ戦の亡霊 |
上からC-17グローブマスターⅡ、C-130ハーキュリーズ、A400M、XC-2と現用の輸送機を並べてみました。違いがわかりますか?
ゼロ戦について批判的なことを書きましたが、ただいま「軍事を学ぼう!」と新しいブログを立ち上げるべく準備中で、初回はゼロ戦についてお話しています。準備が出来次第、お知らせしますのでちょっと専門的なお話をしていこうと思っています。
ゼロ戦は運動性・航続力と他国の戦闘機の群を抜いて一時は活躍できましたが、相手は対ゼロ戦戦法を考えるだけでなく、性能アップした戦闘機を前線に投入するようになり、次第にゼロ戦は時代遅れの戦闘機となっていきました。
ゼロ戦でよく言われるのは、防弾装甲が施されておらず、操縦者の保護を無視されていたことです。
21世紀の現代でも、こうした思想は亡霊のごとくこの21世紀の日本を彷徨っているのです。その証拠が、上の輸送機の画像です。
次期輸送機となるXC-2だけは、エンジンが2基というのは誰の目にも明らかです。
海自の次期哨戒機P-1は4発のジェット・エンジンを搭載した期待を選びました。エンジンは石川島播磨重工(IHI)が開発した国産XF7-10を採用。P-1が4発エンジンにこだわったのは、故障や攻撃による被弾でエンジン3基が停止しても飛行が可能だということです。つまり、生存性が高いということです。
貴重なパイロット、機乗員の生命を守るのは、経戦能力確保の第一です。生存性を無視し、要請に時間のかかるパイロットを無駄死にさせないためには当然の選択です。
XC-2はなぜエンジンを2基にしたのか???
乗員、兵員併せて100名以上を乗せる戦術輸送機が2基のエンジンでは、ゼロ戦のような人命軽視ではないでしょうか。
戦術輸送機とは、後方の補給集積地から前線に向けて補給等を担う輸送機で、携帯式短SAMや着陸態勢に入った際にはRPGのようなロケット弾による攻撃すら考えられるのです。それで、エンジン2基とは合点がいきません。私はゼロ戦の人命軽視の亡霊が彷徨っていると、ついつい考えたのです。
こうした理にかなっていないものは自衛隊には多くあります。
海自の護衛艦など、その最たるものです。世界ではステルス性を重視した船体設計と、放熱を抑えるなど工夫が凝らされていますが、海自護衛艦はいまだに伝統を守り続けています。海保など海自護衛艦より洗練された船体の巡視船が採用されています。
陸自には装甲を施された野戦救急車がありません。戦車以外の装甲は機関銃弾に耐える程度。このようなガラクタ(失礼!)を寄せ集めて、ガラクタと批判する中国軍と対峙しようと言うのですから、無理なお話どころか臍でお茶を沸かすような話です。
それでもマニアは歓迎し、防衛省幹部は何の疑問も抱かない。
それでもなお、この国を真剣に守ろうと言うのですから与太話です。私が最も怒りを覚えるのは、この臍でお茶を沸かすような話で国を守ろうと現場に押し付けることです。
震災で明らかになったように、最新装備は揃っていても自衛隊には満足に無線機すら無いのです。
自衛隊ではようやくセーターが着れるようになりましたが、これは一部を除いて支給されないのです。北海道の部隊にはコットンの靴下は支給されますが、汗をかけば凍り冷えるため敬遠されています。冬場になるフリースを自腹で買っているのです。
フリースは保温性が高く速乾性があり、軽量で肌触りが良く、安価な反面、戦場では最も危険な燃えやすい素材です。燃えやすく、肌に付着してしまい重度の火傷となります。
震災では担架やボディバック(納体袋)が足りず、ご遺体を背負って搬送した隊員が多くいました。
このように、自衛隊はアンバランスな状態のまま島嶼防衛で中国と向き合おうとしているのです。これで本当にいいのでしょうか?
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